尾瀬の温泉小屋は尾瀬ヶ原の北の端赤田代地区に立つ山小屋です。尾瀬で唯一温泉が湧く地区で山小屋でも珍しい温泉付きの山小屋になっています。
尾瀬の山小屋は一般的な山小屋と比べると設備が整っている小屋が多い印象でして、各山小屋で趣向を凝らせて集客合戦が繰り広げられています。温泉小屋は温泉という他にない武器を持っていて数多ある尾瀬の山小屋の中でも人気があるそうです。今回は友人と一緒にいく予定だったのですが、諸事情で来れなくなったので1人になってしまいました。仕方ありませんが折角の土日ですし1人でのんびりハイキングでもしましょうか。
- 温泉小屋までのアクセス
- 晴れていればテラスでコーヒーやビールが飲めたのに
- 部屋は8畳でコンセント付き
- 温泉は鉄分を多く含んだ硫酸塩冷鉱泉
- カレーを中心とした品数豊富の夕食とご飯がすすむ朝食
- 温泉小屋は温泉にも入れて、ご飯の美味しい山小屋でした。
温泉小屋までのアクセス
温泉小屋までのアクセスには3方向からあります。
① 鳩街峠から徒歩4時間
尾瀬ヶ原を縦断するメインルートかつ多くのハイカーが歩くルートです。上越新幹線の上毛高原駅ないし上越線の沼田駅から関越交通バスで戸倉までいき、シャトルバスに乗り換えて30分ほどの鳩待峠から登山がスタートになります。鳩待峠から1時間ほど下って山の鼻に出ると尾瀬ヶ原になります。
尾瀬ヶ原の湿原は水芭蕉の季節ということもあり白くなっています(因みに水芭蕉の葉や茎には毒が含まれているのでむやみに触らないように)。
晴れているとこんなに素晴らしい景色を独占できることも。
途中には尾瀬といったらここという撮影スポットなども多く、なかなか足が前に進みません笑。鳩待峠からの最初の下りを除けば木道が主なので歩きやすいですし、ところどころでベンチや山小屋もあるので休憩やお手洗いに困るようなこともないです。ただ、歩いて4時間かかりますので東京からであればできれば始発の新幹線に乗りたいところです。
② 御池から片道3時間半
福島県側の玄関口でもある御池からであれば最短で温泉小屋までいくことができます。御池までは東京からであれば東武特急リバティで約3時間の会津高原尾瀬口駅からバスで2時間ほどかかります。途中田代と呼ばれる湿原地帯を通りますが樹林帯が多く、人通りもあまり多くないので尾瀬に通い慣れた方向けでしょうか。
③ 大清水から約6時間
群馬県側のもう一つの入り口である大清水からもアクセスすることが可能です。途中尾瀬沼を通って
白砂峠を越えて燧ヶ岳の麓をぐるりと回っていきます。時間もかかりますし、道も登山道といった感じの場所が多いので熟練者向けですし、東京からでは始発の新幹線の場合、宿到着がギリギリになってしまう時間なので前日泊か深夜バスで移動しておくのがいいでしょう。
晴れていればテラスでコーヒーやビールが飲めたのに
見晴の尾瀬小屋で山小屋グルメを食べた後、
見晴から歩いて20分ほどで温泉小屋が見えてきました。
後ちょっとなのですが、だだっ広い尾瀬では建物が見えても実際到着するまで結構時間がかかる。建物見えてから5分歩いてようやく温泉小屋に到着です。
赤田代地区では温泉小屋のさらに北側に元湯山荘という山小屋もあるのですが2022年は休業。なので今シーズンに限って言えば尾瀬で唯一温泉に入れる山小屋となっています。
小ちゃくて可愛らしい看板のお出迎え。
テラスカフェではコーヒーやアルコール類、ピザなどが提供されます。
座っていて気持ちよさそうな椅子がありますが、雨が降ってくると閉めてしまうため今回は注文することができませんでした。ただ、ちょうど閉めるタイミングだったようで撮影だけはできました。ザックとかストックとか持ち込み禁止ですし、結構繊細に扱われているのでもし行かれれる方は注意してください。
チェックインは確か13時半であったため、少し外で待っていたのですが雨だからなのかチェックインOKだったので中に入れさせていただきました。こちらは本館の玄関で昔からある山小屋っていう雰囲気です。
料金ですが、今回は相部屋利用であったため1人11000円でした。詳しい料金はHPみてもらえればいいですが北アルプスと料金相場的には変わらないのでしょうか?2つある建物のうち本館のほうが少しお高めの金額になっています。
温泉小屋から尾瀬の水が一挙に集まる三条の滝までは往復2時間かかります。尾瀬は木道中心なので登山の格好しなくても歩けてしまうのですが、三条の滝までの道は険しくて特にこの時期は雪解けの影響で泥濘が多いです。なので、三条の滝に行かれる方向けに装備を貸し出しているようです。結構年季が入ったザックですね。
部屋は8畳でコンセント付き
今回は別館ということで少し離れた別館に向かいます。ただ、食事も温泉も別館にあるので立地としては別館のほうがいいです。
靴は各自名前タグをつけて靴箱に入れます。
濡れたレインウェアなどはかけておくことができるようになっています。スリッパを履いて中へと上がると団欒スペースと売店があります。
団欒スペースにはヤマノススメが置かれていました。
売店は16時から19時まで。朝も営業はしてそうでした。
ビールや飲み物は自販機でも売っています。
温泉小屋のTシャツはデザインが好みなので1着買おうと思いましたが、サイズがSSしかなかったので断念しました。
その他にもマグカップや巾着、尾瀬の絵葉書などお土産ものも売っていました。
階段下のわかりやすい位置に本日の案内が書かれているので目につきやすい。
部屋は2Fなので階段で上がっていきます。
団欒のテーブルにもPEAKSなどの山雑誌ありましたがさらに充実しています。山と渓谷がいっぱい置かれています。
年代物のヤマケイもあるではないですか。こういうの見ると、自分の生まれたときのヤマケイや好きなダービー馬が勝ったときのヤマケイはどうだったかと気になります。試しにアイネスフウジンがダービーで勝った1990年5月号をみてみました。確か昭和山岳史の変遷とかいう題名だったような。中身は載せるわけにはいきませんが、山への情熱は昔も今も変わらないです。裏表紙のミレーのザックみて昔のザックってこんな横広だったのかと驚きました。どんなのかというとゆるキャン△のなでしこが背負っているザックの形を想像してもらえたらと。
部屋は8畳に奥に荷物置き場としての広縁があります。
多分大部屋を個室に改築したのかな。壁は薄くお隣さんの声は聞こえやすいので声のトーンはほどほどにしたほうがいいでしょう。真ん中に机がぽんと置かれているだけで殺風景ですが、山小屋なのでこれくらいがちょうどいい。さらに山小屋には珍しいコンセント付きです。2口しかありませんがスマホの充電できるのはありがたい限りです。
布団も毛布も用意されています。シーツは別で用意されているので、後で自分で敷く形です。
布団の敷き方、片付け方はマンガでわかりやすく教えてくれます。
なぜ、夕食後でないと布団を敷けないのかは謎です(誰かわかる方いますか?)。
トイレと洗面は1Fの浴室にあります。水洗でウォシュレット付きなので下界とほぼ変わらないぐらい清潔ですし、嫌な匂いもしません。
消灯時間は特に定められていませんが、山小屋なので20時過ぎには廊下やトイレなどの電気は少し暗くなるようです。山小屋なので消灯ないとはいえ夜遅くまで起きてるのはどうかと思うので早めの就寝を心がけたいものです。
温泉は鉄分を多く含んだ硫酸塩冷鉱泉
温泉は13:30〜17:00と17:30〜19:30が利用可能時間になっています。13:30に一番乗りで行こうと思いましたが、すでに数人いたのでその人がたちが出るタイミングでお風呂に入りました。
脱衣所は荷物置き場だけです。貴重品などを保管する金庫的なものはありませんし、山小屋なので部屋にも鍵がかからないので同行者にみてもらうのが1番の安全対策でしょうか?
お風呂は内風呂1箇所だけで4人ぐらいなら余裕で入れる大きさです。
温泉は泉温23.6℃なので正確にいうと鉱泉ですが、色は少し赤みを帯びていて、赤田代地区では鉄分を多く含んでおり温泉の匂いからも鉄分を感じさせる匂いです。また、メタケイ酸やカルシウムイオンが多く含んでいるため、皮膚病や美肌に効果があるそうです。お湯は加温されていますが自分で調整する必要があるので周りに入っている方がいたら一声かけるなどして同意を得た上で温度調整したほうがいいでしょう。
シャワーも一台だけですがついていますので簡単に体を洗う程度なら使えます。例のアレの対策で石鹸も使えるみたいです。
洗面台にはドライヤーはありません。山小屋なので致し方なしです。タオルは部屋にあります。無地のタオルかなと思っていたら温泉小屋のイラストが描かれていました。
カレーを中心とした品数豊富の夕食とご飯がすすむ朝食
お風呂入った後は相部屋の相手の方もきたのですが、その方は三条の滝に行かれるようなので夕飯前までは1人で過ごすことができました。音楽聴きながら昼寝して、山と渓谷読んだりしていました。尾瀬にはフリーWi-Fiが整備されていて、インターネットで明日の日帰り温泉の場所を調べたり、Twitter見るぐらいはできる速さです。携帯電話の電波も前はauだけでしたが今ではdocomoの電波も通じるようです。尾瀬は日々進化しています。
・夕食
17時になりましたので夕食に向かいます。夕食は別館の1階でいただけます。売店や自販機で売っているビールやソフトドリンクも持ち込み可能です。
夕食はこちらです。
人参と豚肉のカレーと上に乗っかっているのはポテトコロッケです。カレーは実家で食べるような素朴なカレーでした。
牛すき小鉢。あっさりしていてこちらも山小屋クオリティを超えています。
後はサラダと鶏肉の南蛮漬け、大根の煮物、春雨の酢の物です。デザートはコーヒーゼリー。スープは各個人でとりにいきます。
ご飯はお代わり自由です。できればカレーもおかわりしたかった。全体的に品数が多いなという印象でどれもこれも山小屋という物資が限られた中では美味しかったです。
飲み物は最初は白湯しかないと思っていたら、ほうじ茶のような粉末がありましたので何杯か入れていただきました。周りの人の何人かがなんか温泉の味がすると言っていました。言われると確かにという感じでした。果たして本当に温泉水だったのでしょうか?
この日は土曜日だったのですが、平日であれば3800円払えば霧降牛のステーキを食べれるようです。ただし、カレーがなくなってしまうので悩みどころです。
・朝食
朝食は6時からです。燧ヶ岳や至仏山に向かわれる場合は遅いのでそういう方向けにお弁当も用意しています。夕食時と比べて心なしか少なかったので何人かはお弁当にされたのでしょう。
朝食も品数豊富です。
鮭に鶏肉、野菜に花豆の甘露煮と品数豊富。
卵は温泉卵でした。温泉卵を入れるであろう容器には謎の液体が入っているのですがこれはもしかして温泉水でしょうか?
海苔もあるのでご飯は軽く2杯はいただけます。
温泉小屋は温泉にも入れて、ご飯の美味しい山小屋でした。
温泉小屋にはポストがついているので思い出に手紙を出すというのも趣があります。
温泉小屋は温泉にも入れますし、ご飯も種類豊富で美味しかったです。今度は今回行けなかったテラスに訪れてみたいですね。
この日は朝から雨で視界が悪かったので、歩き始めるとすぐに見えなくなってしまいました。
尾瀬には弥四郎小屋という至仏山を拝めながらお風呂に入れて喫茶室のある山小屋や
お昼は街中のカフェと大差ない料理を提供してくれる尾瀬小屋など泊まって楽しい山小屋があるので尾瀬の山小屋巡りもいいかもしれないです。