南アルプス南部は非常に遠く、東京からでも車で5〜6時間ぐらいかかる秘境中の秘境。リニアができたら通勤圏内になるんですけど駅はできないんでどのみち秘境です。南アルプス南部には聖岳、赤石岳、荒川岳をはじめとする日本百名山がありますが、1日がかりの移動なのでどうしても百名山ハンターの猛者であっても最後の方にしがち。そんな秘境の入口になるのが椹島ロッジです。移動だけで1日かかるためこれから南アルプスに登る人の前泊、南アルプス登山を終えて帰る人の後泊におすすめです。今回、聖岳〜茶臼岳の縦走(本来は聖岳〜赤石岳までの縦走)の前泊したのでレポートします。
アクセス
椹島までは直接いくことはできず、手前の畑薙第一ダムまで行ってそこから登山バスに乗り換えるようになっていますので手前の畑薙第一ダムまでのアクセスを紹介します。アクセスは車だと新東名の新静岡ICから2時間ぐらい。新東名も山沿いなのでコンビニもガソスタもないくねくね道をひたすら登っていきます(道の駅っぽいのはあるのでトイレはなんとかなる)。東名走ってる間に補給(ガソリンも)しておいた方が無難でしょう。
公共交通機関だと一応3パターンあります。
① 静岡駅から直行バス
夏休み期間(海の日の3連休からお盆にかけて)で毎日運行しています。料金は3500円これが1番楽なんで秋の連休でも走らせてほしいです。しずてつさんお願いします。

② 毎日アルペン号
登山者お馴染み毎日アルペン号もあります。何故か今年から静岡駅発着となっていて(多分乗務員の運転時間とかの一般市民を不幸にする働き方改革のせい)で朝はなんと4時15分出発。この時間に泊まらず静岡駅にいる方法はないので前泊必須なのは痛いし、何よりほぼ同じ運行距離で料金がしずてつの4倍となっておりはっきり言ってふざけています。9月の連休もいまだに受付中なんでガラガラでしょう。この値段出すなら東京まで走れといいたいところです。
③ 静岡駅から公共交通機関を乗り継ぎ
静岡駅からしずてつバスで横沢へ。横沢から井川自主運行バスで白樺荘へ。白樺荘から椹島までのバスが出ている畑薙第一ダムまで歩いて40分ぐらい。料金は2620円でこれが1番最安。毎日1〜2便程度バスあるので秋はこのルートが1番いいでしょうが、井川自主運行バスは9人までしか乗れないです。途中の井川まで(井川から)は大井川鉄道も使えます(料金も時間もそれなりにかかりますが)。大井川鉄道はアプト式電車やSL電車など鉄オタじゃなくても乗ったら楽しい列車ありますし、風光明媚な大井川沿いを走るので一度は乗ってみたい。
もちろん私が今回選んだのは①のルートです。バスの予約は意外にあっさり取れます。
10時ちょっと前の静岡駅。バスは10時発なので東京、大阪などからも朝に移動すれば間に合う時間です。

静岡駅自体はしょっちゅうきてるので今から山登りに行くぞ!!って気分になっていませんでしたが、登山バスの発着場所まで来ると空気が張り詰めていて緩みっきった気持ちを叩き起こしてくれます。そんだけ猛者だらけです。テント泊荷物背負っているもの、年季の入ったザックで残り僅か(だと思う)百名山を制覇するもの。百名山2⚪︎座しか制覇していない私がペーペーの新米っていうぐらいの空気感がバスの中からぷんぷん匂ってきます。

バスはUSB-Type Aのポートや都市部だけだけどWi-Fi完備の高速バスタイプ。今回は人数も多くなくてリクライニングもできるし、荷物も後ろに置いていいですよっていう状態でした。
街中を抜け(途中にTJARでお馴染みの望月さんが働いている消防署を通過します)、安倍川沿いを走って、川を渡ると山間部に突入。

最初の休憩地点の横沢です。トイレ休憩。

この先もくねくね道で久しぶりに車酔いっぽい症状出てきました。行く前から地獄を味わえる南アルプス。カーブの横揺れだけでなく、ブレーキやすれ違いの時のバックなど揺れが激しくて激しくて、寝てればなんとかなりますが、次来る時は酔い止め持ってく。
井川の先でトイレ休憩して3時間で畑薙第一ダムの臨時駐車場まできました。バスに乗ってるだけですがすでにやられています。

登山受付を済ませてしばしの休憩。携帯の電波は問題なくつながります。

ヘルメット付き登山バスで椹島へ
椹島までは特種東海フォレストが運行する登山バスで向かいます。このバスに乗るには特種東海フォレストが運営する山小屋に宿泊する必要があります。赤石岳、荒川岳周辺の山小屋は大体そうなのですが、聖平小屋は違うので注意です。このバスに乗らないととんでもない距離歩かされるので乗るのはほぼ必須なのでテント泊でもどこかの山小屋に宿泊しないといけないのが厄介です。なのでなのか毎回の南アルプスの予約は争奪戦です。

バスが来ると中にヘルメットがあり、このヘルメットを被った上で椹島までのバス移動となります。それだけ落石が大きいところを進んでいきます。

ここまでですでに限界ですが、まだまだくねくね凸凹道を登っていくのはかなり辛いですが、想像よりも揺れは少なくなんとかなりました。生まれて初めてリニア工事に感謝しています。っていうのもこの先はリニア工事の最前線、落石があってもリニアのためにすぐ復旧、ダート道も少しずつ舗装されて椹島までなら凸凹箇所は数箇所まで減ったそう。リニア不要派ですがこればっかはリニアに感謝せざるを得ないです。
予約は争奪戦だけどなんとかなる
南アルプス南部の山小屋は大半が特殊東海フォレストが運営していて、予約開始日も月毎に違うとはいえ一斉受付開始なので自ずと争奪戦になります(ちなみに、聖平小屋も同タイミングなのでくそ厄介)。グループなら〇〇さんは千枚小屋、△△さんは椹島ロッジみたいにやればいいのですが、1人だと順番にやっていかないといけないのが面倒かつ予約できないリスクがあります。
私は労働の関係でスマホでしかできなかったのですが、1人でやるなら快活クラブに行って固定回線+Wi-Fiの複数回線で凸するのが1番可能性が上がると思います。スマホ1台お盆休みの平日で一応百間洞山と赤石小屋の予約は取れましたが、聖平小屋は無理でした。
予約取れなくても諦めるのは早くて、あとできることは定期的にチェックするしかないです。幸い椹島も聖平小屋も1週間後みたら空いていたので取れました。計画の変更とか一斉アタックで予約が被ったとかでキャンセルは出てくるのであとはいかに定期的にチェックするかが鍵です。ネットブラウザのタブをそのままにして定期的にF5攻撃したらなんとかなるんで頑張りましょう。これは予約関係ならいろんなところで役立ちますんで。
1時間揺られて椹島ロッジに到着。まずはビジターセンターで受付となります。ちなみに静岡市葵区で朝出発した静岡駅も同じ静岡市葵区、正味5時間かかっていますがまだ他の区の敷地すら踏み入れていないぐらいデカいのが静岡市。椹島ロッジが今の段階で一般人が他力で行ける最北の地ですがまだまだこの先、二軒小屋ロッジ、最北端の間ノ岳と静岡市はまだまだ細長いのです。
少年自然の家を少しまともにしたような感じ
•部屋の様子
ロッジの全体像はこんな感じです。手前からA棟、B棟、C棟となり今回は1番奥のC棟なりました。

部屋は1人ですが個室が割り当てられました。

6畳のテレビ・エアコン付きです。


テレビは地上波は映りませんが、BSは映ります。エアコンも完備されているので暑くても安心ですが、そんな暑くもないのでエアコン掛けずに寝れました。
電源も2箇所にあるのでスマホの充電も問題なくできます。
一般的な山小屋と比べるとまだまだ、平地という部類なので個室、エアコン、テレビ付きなので使うかどうかにせよ設備は整っているかと思います。壁はうっすいので隣の人のいびきとかは普通に聞こえますが十分なプライベート感はあります。ゴミは持ち帰りが必須です(椹島で買ったものは除く)
•施設の様子
廊下は少年自然の家みたいな感じ

漫画や本は借りれるみたいです。

電波はドコモはどこでもビンビンに入ります。YouTube問題なく見れるぐらいの速度も出ています。
飲み物はダイドードリンコの自販機と

お酒の自販機があります。平地と比べたら高いですが、まだまだ山の中だと安い方でしょうか。

乾燥室兼コインロッカー

コインロッカーあるんで帰りの着替えとかをロッカーの中に入れておくこともできます。椹島の場合は周回になることが多いので公共交通機関勢には重宝します。
お風呂は15時30分〜19時まで。数人は入れるほどの大きさです。シャンプー・ボディーソープは使用可能です。これから数日間は風呂なし生活なので綺麗に身体を洗っておきましょう。
トイレはA棟、B棟は洋式のウォシュレット、C棟だけ和式です。そんな遠くないのでC棟から遠征してB棟のトイレ使ってました。水分はその手前の洗面台の水が飲用可なのでそれを明日からの登山用に汲んでおきます。
売店にも行ってみましょう。売店は日中と少し休憩して夕方16時から18時まで営業しています。

南アルプスの特産品や特種東海フォレストが運営している井川蒸留所のウィスキーなど(買って帰ろうと思ったけど想像以上に高かったからやめた)売っています。

もちろんバッチやTシャツやおつまみ類、モンベルのちょっとした忘れがちな小物類(ヘッデンとか)も売っていました。

食事時間は過ぎているので食べれませんがメニューは載せておきます。

16時からの第二部でもビールは飲めますよ
テント場は近くの芝生スペースです。この日は天気良くなったから人数は少なめ。

•食事の様子
夕食はお膳スタイルです。

エビフライ、甲羅のグラタン、ローストビーフ、ネギトロ、山菜、チョコケーキという感じ。既製品の味というか、幕内弁当食べているみたいです。食べれるけど、無茶苦茶美味しいとかではないです。
南アルプスふれあいセンターには南アルプスについて色々と展示があります。


これから登る(登りたい)山々たち
消灯は9時です。雰囲気は少年自然の家を少しよくしたらこうなりました!!って感じです。年季はあれど、不快さは感じないそんな山小屋です。
さぁ、しっかり寝て明日の聖岳登山に備えましょう。